劇症肝炎
劇症肝炎とは
劇症肝炎とは,その名前からもわかるように非常に症状の激しい肝炎で,およそ70%の人が死に至ります.
劇症肝炎のほとんどの原因はウィルス性肝炎で,その内訳は,NANB肝炎が約半数,B型肝炎が約三分の一,A型肝炎が劇症化することはほとんどありませんが,約一割を占めています.ウィルス以外の原因としては,薬剤などによっておこります.
前にも述べましたが,肝臓という臓器は,再生能力と代償能力に優れた臓器ですが,劇症肝炎になると,肝細胞の破壊が急激且つ広範囲に進むため,再生が間に合わず正常な機能を維持できなくなります.
劇症肝炎の初期症状は,急性肝炎と同じように体がだるい,発熱,吐き気などですが,急性肝炎より重く,急激にでます.
次に黄疸が出ます.急性肝炎の場合,黄疸が出ると初期症状は軽くなっていくのですが,劇症肝炎の場合は逆に悪化の道をたどります.
さらに,血液凝固因子の低下による出血や,血液中に,アンモニアをはじめとする有害物質が増加することから起こる肝性脳症(肝性昏睡)などの症状が現れます.
通常,急性肝炎を発症してから8週間以内に肝性昏睡がII度以上([昏睡度の分類] を御参照ください)を示し,プロトロンビン時間が40%以下になる場合を劇症肝炎としています.
劇症肝炎は,初期の段階で強い肝性昏睡が起こる電撃性肝炎と呼ばれる急性のものと,通常の急性肝炎と考えて治療していくうちに,だんだん症状が悪化して重症になっていく亜急性のものとに分けられます.
急性と亜急性とには生存率に差があり,急性で約30%,亜急性ではその半分の15%程度しかありません.
なぜ劇症肝炎になってしまうのかというそのメカニズムはまだわかっていませんが,B型の劇症肝炎の場合,変異株が関与しているということ,C型の場合,免疫を抑制する薬を使っている人が,その薬を減らしていく課程で劇症肝炎を起こすことなどが解明されていますが,予防策は見つかっていません.
治療
血漿交換療法
血液中に増加したアンモニアなどの有害物質を取り除き,健康な人の血漿成分と入れ換える事により,患者の意識障害などの症状を改善します.
副腎皮質ホルモン(ステロイド)
劇症肝炎になると肝臓内で強い免疫反応が起こって激しい炎症を起こしていると考えられます. そこで,免疫抑制作用と抗炎症作用のある副腎皮質ホルモンを投与することにより,免疫反応と炎症を抑制します.
グルカゴン・インスリン療法
膵臓から分泌されるインスリンとグルカゴンは肝細胞の再生能力を高める作用があります. それを点滴静注することにより,肝臓を再生し肝機能の回復を図ります.
分枝鎖アミノ酸
血液中には芳香族アミノ酸と分枝鎖アミノ酸という2種類のアミノ酸が一定量含まれているのですが,そのアミノ酸の代謝バランスが崩れ,分枝鎖アミノ酸が低下し,芳香族アミノ酸が増えると,肝性脳症の原因となるとされています. アミノ酸は脳の神経伝達物質の材料となっているため,これが減ると偽性神経伝達物質というモノが増えて脳の働きに影響が出るのです.
そこで,ロイシン,イソロイシン,バリンなどの分枝鎖アミノ酸を配合したアミノレバンという分枝鎖アミノ酸製剤を投与する事により,そのアミノ酸バランスを回復させ肝性脳症を改善させます.
昏睡度の分類
- I度
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- 睡眠・覚醒のリズムの逆転.(生活リズムの昼夜逆転)
- 気持ちが高揚し,軽い興奮状態,しかし,時に鬱状態.
- だらしなくなる.
- アンモニア臭・手をばたばた動かす.
- II度
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- 時や場所,周囲の状況がわからなくなる.
- ものを取り違えたり,勘違いをする.
- 異常行動が見られる.(幻覚)
- 時に傾眠状態になるが呼びかけには目を開き会話が出来る.
- III度
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- しばしば興奮状態になったり強い不安や恐怖を示す.
- 反抗的態度を見せる.
- ほとんど眠っているが外からの刺激で目を開ける.
- IV度
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- 昏睡状態 ただし痛みには反応する.
- V度
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- 深い昏睡状態で痛みにも反応しない.