肝臓癌

肝癌の種類と発生

肝臓にできる悪性腫瘍のほとんどが癌で,まれに小児に肉腫が発生します.

肝癌で,肝臓に初発するものを原発性肝癌といい,他の臓器にできた癌が肝臓に転移したものを転移性肝癌といいます.このうち原発性肝癌は癌細胞の種類によって,肝細胞が癌化してしまう肝細胞癌(ヘパトーマ)と,胆管の上皮細胞が癌化してしまう胆管細胞癌(コランジオーマ)に分けられています.

日本での肝癌患者数は年々増加を続けており,年間2万人近い原発性肝癌患者が発生しています.その大多数は肝細胞癌で胆管細胞癌は10%程度です.尚,転移性肝癌は,原発性肝癌より遙かに多く,原発性肝癌の数倍であると推測されます.

肝細胞癌の原因は不明ですが,発生に関与していると考えられる危険因子はいくつか挙げられます.

ひとつは肝炎ウィルスで,肝細胞癌患者の約25%がB型肝炎ウィルスに,約85%がC型肝炎ウィルスに感染しているといわれています.(※重複感染あり) B型肝炎ウィルスについては,ウィルスの遺伝子が肝細胞の遺伝子の中に潜り込み,細胞分裂の異常を引き起こして癌化のきっかけを作るのではないかと考えられています. C型肝炎ウィルスについては,どのように発癌のきっかけをつくるのか,まだ解っていません.

二つ目の危険因子として肝硬変が挙げられます.その理由として,肝癌患者の8割が肝硬変を合併しており,また,肝硬変の状態が長い間続くと肝癌が発生しやすくなるという事実があります.そのため肝硬変は一種の前癌状態であるともいわれます.

そのほかの危険因子として,豆類に寄生するカビの毒素の一種であるアフラトキシンや,造影剤のトロトラスト(現在は使用されていません),女性ホルモンなどのホルモン剤などが挙げられます.

転移性肝癌は他の部位にできた癌が血液やリンパ液によって肝臓に入り込み増殖するものですが,肝臓は,血液が集まり酸素と栄養が豊富にありますので,癌の転移しやすい臓器といわれます.胃癌,大腸癌,肺癌,乳癌,膵臓癌,卵巣癌などからの転移が多いようです.

肝癌の発見

肝癌は,肝臓病の検査のところで触れましたエコー,CT,MRI,血管造影法などの画像診断 (検査の内容については【肝臓病の検査 - 画像による検査】をご覧ください) をはじめとする検査法の進歩により,小さな癌でも発見出来るようになりました.

また,体内に癌が発生したときに,その癌細胞がつくる特殊な物質(腫瘍マーカーといいます)が血液中に増加してきますので,それによって癌の発生を知ることが出来ます.

腫瘍マーカーは癌の発生部位によって異なり,原発性肝癌のつくりだす物質は,α(アルファ)-フェトプロテインと呼ばれる,妊娠初期の胎児の肝臓でつくられる血清タンパクの一種です. 通常,成人の血液中にはごくわずかな量しか含まず,正常値は20ng/ml以下(ラジオイムノアッセイ法)です.原発性肝癌の場合はα-フェトプロテインが癌の診断に役立ちます.(くどいようですがこれが正常値より高値で検出されたとしても,即,癌と診断できるものではありません)

しかし,転移性肝癌の場合,癌は最初にできた部位での性格を受け継いでいて,腫瘍マーカーも,その転移元と考えられる癌がつくりだす物質であるため,肝癌の腫瘍マーカーには反応しません.

肝臓癌の治療

肝癌は,肝硬変と合併していることが多い,再発の危険が高い等の理由により,他の部位の癌と違い手術が適さない癌といわれます.手術による治療も行われる場合もありますが,適応されるのは,

という条件が満たされている場合に限られます. そこで様々な内科的治療法によって治療がおこなわれています.

エタノール注入法

エタノールのタンパク質を凝固させる性質を利用した治療法で,エコーで癌を確認しながら,癌組織に細い針を刺し,エタノールを注入して癌細胞を固めてしまいます.癌細胞の直径が3cm以下で3個以内の癌に適応されます.

開腹しなくてすむうえ,一回の治療時間が約30分と患者への負担が少なく,早期癌であれば何度でも行えるのが特徴です.

肝動脈閉栓療法

進行中の癌をそれ以上増殖させないためにおこなわれ,大腿動脈からカテーテルを入れて,X線画像を見ながら癌細胞に血液を送っている動脈に閉栓物(ゼラチン,抗ガン剤など)を注入し,血流を止め癌細胞を窒息させる治療法です. エタノール注入療法と組合わせて行われることが多いようです.

その他の治療法

癌細胞が正常細胞より熱に弱い点を利用した温熱療法や,抗ガン剤を使う化学療法が行われています.放射線治療も行われますが,肝細胞癌にはあまり効果がみられないようです.

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LastModified: 2004-02-25T23:10:09+0900