A型肝炎

A型肝炎ウィルス[HAV]の特徴

HAVはピコルナウィルス科に属し,ゲノムの大きさ7.5kb(7500塩基)の線状1本鎖RNAを遺伝子にもつ,直径27nmの球形(正20面体構造)のウィルスです.

nm
nanometer (ナノメーター).nano は 10臆分の1 を意味する接頭語なので 1nmは1mmの100万分の1 ということになります

A型肝炎の感染経路

主として経口感染で,ウィルスに汚染された生水,生の魚介類などが原因となります.ときにカキの生食などで起こります. 上下水道等,公衆衛生面の整備されている国では感染の広がりは少ないのですが,東南アジアやアフリカなどの開発途上国では流行がみられます.

A型肝炎の発症機序

経口感染によって身体に侵入したHAVは,肝臓にたどり着きそこで増殖を始めます.(潜伏期 2〜6週)

潜伏期の間に肝臓で増殖したHAVは,肝臓から排泄される胆汁中にも現れ,糞便の中に排泄されます.(衛生環境の悪いところでは,その糞便が飲料水や食べ物を汚染して新たな感染源となります.昔,洪水後に流行肝炎として感染が広まったのもその為です) そしてまもなく肝炎の症状が出てきます. 症状は風邪に似て,全身倦怠感,発熱,食欲不振,嘔吐,関節痛などの症状が初期に一週間程度続きます. そして,黄疸が出て,初期の症状は改善へと向かいます.2〜4週程度黄疸が続きますが,やがてHA抗体[HAV-Ab]が身体の中で作られ,治癒します. A型肝炎は治癒率が高く,おおよそ1ヶ月くらいで治癒し,慢性化することもありません.また,一度IgG型HA抗体(HAVに対しての中和抗体,終生免疫)を身体に獲得すると再び感染することも発症を再発することもありません. このようにHAVはウィルス肝炎の中ではタチがよいウィルスと言え,劇症肝炎になることも窮めて稀(1%程度)ですが,黄疸期には通常,入院が必要です.

A型肝炎の検査

HAVの感染の有無を調べるには血液検査によりIgM型HA抗体を調べます.IgM型HA抗体は感染初期に作られる抗体で3ヶ月程度しか存在しない抗体なので,それが陽性であるということは現在A型肝炎に罹っているか,或はごく最近までA型肝炎に罹っていたということを示します.

抗体抗原反応については【肝臓病の検査 - ウィルス・マーカ】,IgM,IgGについては 【肝臓病の検査 - 血液の検査 #2 - ウィルス・マーカ - IgM? IgG? なにそれ? [免疫グロブリン]】を御参照ください.

A型肝炎の感染予防

予防として,免疫グロブリン製剤を注射します. 成人で3mlを注射し,3ヶ月予防効果が持続します.予防の対象となるのは,A型肝炎の流行している東南アジア地域やアフリカなどの国に旅行する人や,周囲にA型肝炎患者が発生している人などです.

また,上記A型肝炎流行の見られる地域では魚介類,水などなるべく生食を避けるよう心掛けたほうが良いでしょう.

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LastModified: 2004-02-25T23:12:20+0900