肝炎の薬

ラミブジン

B型肝炎の項でも少し御紹介しましたが,ラミブジンはHBV-DNAの増殖を阻害する薬です.以前からHIVの治療薬として用いられていました.

投与の方法は他の薬との併用等も行われているそうですが,単独使用の場合,通常1回100mgを1日1回経口投与します.(良く使われているであろうと思われる)ゼフィックス錠®100だと丁度1日1回1錠を飲みます.

HIV,HBVは逆転写酵素(DNAポリメラーゼ)を利用するというその増殖の過程が良く似ていて,ラミブジンは,DNA複製時に本来ならdCTPという核酸の材料がくっつかなければならない位置にそれの代りにくっつく?ことで,逆転写酵素がそれを取り込もうとする作業を拮抗的に阻害する作用と,複製中の(-)鎖DNAに取り込まれてDNA鎖が伸長するのを停止させる作用によって,HBVが自分のDNAを複製するのを阻止します.

そのことにより,効能・効果は,B型肝炎ウィルスの増殖を伴う肝機能の異常が確認されたB型慢性肝炎におけるウィルスマーカー,肝機能及び肝組織像の改善(ゼフィックス錠のインタビューフォーム)とされています.

DNAの(+)鎖?,(-)鎖?

あやしいですが….(あ,何がかっていうと,私がうまく説明できるかどうかが…(死))

(-)鎖というのはDNAの2本の鎖の内,遺伝子情報として意味を持つ方(蛋白を合成する際の実際の命令文.こちらはちなみに(+)鎖と呼ばれます)とは相補的関係にある反対側の鎖のことです.

蛋白の合成は,めちゃくちゃフランクザッパ…あ,いや,おおざっぱに言うと(ここもさらっと流してね さらっと),DNA→RNA(転写),RNA→蛋白(翻訳)という流れでおこなわれますが,(-)鎖は,その最初の段階の転写の際に鋳型となる鎖です.

この辺,私は噛み砕いてキチンと説明できるだけの知識がありませんので,セントラルドグマとかDNAとかRNAとかをキーワードに検索エンジンで検索をかけると丁寧に解りやすく紹介されているページがありますので,そちらを御参照ください.(と,また逃げておく…)

この辺の事って難しいので触れないでそのままいけるなら触れずにいきたいんですが(ほんま,キチンと解りやすく説明できる自信がないので…高校の時やらへんだし),HBVの治療とか変異株とかそういう話で「どういう風に効くの?」とか「それはどういうものなん?」みたいな話になってくると,どうしても出てくる話題なのでちょっとだけ触れさせて戴いてます.

プロパゲルマニウムやIFNなどの従来からB型慢性肝炎の根治治療として用いられていた薬は,人の免疫システムを利用(賦活したり誘導したり)してウィルス増殖に歯止めをかけるということを行っていたわけですが,ラミブジンはそれ自体がウィルスの増殖そのものを邪魔する作用があるので注目されています.

が,しかし,ええことばかりかと言えばそうではなく,投与を終了するのに長期を要する薬であるとされていて,ラミブジン投与時に於て,HBVが増殖するときの必須酵素である逆転写酵素(DNAポリメラーゼ)の活性中心のアミノ酸配列が変異したYMDD変異株が発現することが判っていて,その変異株にはラミブジンの作用が期待できなくなることも判っています.

また,ラミブジンの投与を中止したとき,今まで増殖を抑えられていた野生株が再び増殖することもあり,その際には他の治療法との併用,ラミブジン再投与などを考慮しなくてはならないとされています.

特に患者側として厳重注意事項として覚えておきたいのは,自分で勝手に判断して服用をやめたりしないということです.勝手な投与中止は肝機能悪化,肝炎の重症化を起こすことがあるとされています.

YMDD変異株?
YMDD変異株というのは,本来そのDNAポリメラーゼの活性中心のアミノ酸の配列が YMDDという並びであるはずがYIDDやらYVDDに変ってしまっているウィルスで,これは増殖に必須なDNAポリメラーゼが変異しているので増殖能が低いといわれていますが,逆にラミブジンの作用自体も期待できないという変異株だそうです.
上で出てきたアミノ酸
  • Y — チロシン
  • M — メチオニン
  • D — アスパラギン酸
  • I — イソロイシン
  • V — バリン

使用の対象となる人は,HBV-DNA,DNAポリメラーゼ或はHBe抗原によってHBVの増殖が認められる人で,逆に使用の対象にならない人は,

とされていて,また,安全性に関しては,

というのが挙げられています.

投与を始めると長期投与を余儀なくされるわけですが,投与終了の検討となるのは,

  1. HBe抗原陽性の患者では,HBe抗原からHBe抗体へセロコンバージョン(HBe-SC)が持続した場合.
  2. HBe抗原陰性の患者では,HBs抗原の消失或はALT(GPT)の正常化を伴うHBV-DNAの陰性化が6ヶ月以上持続した場合.

とされています.ただし投与終了後にウィルス再増殖の可能性があり,それに伴って肝機能悪化が考えられるために,投与終了後少なくとも4ヶ月間は原則として2週毎に臨床症状と臨床検査値の観察をすること,その後も観察を続けることとされています.

また,HBe抗原陽性患者がHBe-SC持続に基づいて投与を終了した後のHBe-SCが長期に持続されるかどうかに関しては限られたデータしか無いとされています.

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LastModified: 2004-02-25T23:15:25+0900