その他のウィルス
A〜G,TT型などの肝炎ウィルスの他にも,肝炎症状を起すウィルスがいくつかあります.ここではそれらを(ごく簡略に)御紹介します.
EBウィルス
EBウィルスは,日本では成人の約95%がEBV抗体陽性,つまり,感染歴があるといわれるほど感染率が高いウィルスで,感染経路は主に唾液による経口感染です.
発熱,喉の痛み,リンパ節の腫れ(による圧痛)など,伝染性単核症という感冒に酷似した症状を起します.血液のリンパ球系の単核球の増加が顕著に見られることから伝染性単核症の名前があります.
感染者の90%が肝炎を伴いますが,症状は比較的軽く,劇症化することもありません.幼児期に感染し気づかないうちに治癒している例が多いと言われています.
単純へルペスウィルス(単純性疱疹ウィルス)
口のまわり,陰部(男性は陰茎皮膚,女性は尿道口付近,大・小陰唇等)などに出来る発疹の原因ウィルスで,ヘソから上に出来るものをHSV-Iによる帯状へルペス,陰部等に出来るものをHSV-IIによる陰部へルペスといい,通常,それらの部位に,かゆみ,または痛みを伴う発疹を起こしますが,時に肝炎症状も起こします.
日本では成人の80%が抗体陽性で,性行為によって感染することからSTD(性行為感染症)にも指定されています.
近年,オーラルセックスの増加による影響でHSV-IIを口内にもつ人も増えています.(その場合,キスでも感染します.)
風疹ウィルス
別名「三日はしか」と呼ばれる風疹も,多くは小児期の感染で軽症に終わりますが,妊婦が感染し,その胎児が感染すると,先天性の心臓疾患や小児肝硬変の原因となるといわれています.これも,肝炎症状を起こします.
サイトメガロウィルス
胎児期,乳幼児期に感染し治癒しているケースが殆んどですが,時に慢性肝炎の原因になりますが,通常,健康体がこれにより肝炎症状を起こすことはないとされます.免疫能が著しく低下している人(臓器移植後の免疫抑制剤長期投与時,エイズ発症による免疫不全症候,体力の低下した老人,人工透析を受けている人等)が日和見感染(健常時には悪さをしないウィルス,細菌,カビ等による重篤な感染症)をした場合,肝炎症状を起こすといわれています.(サイトメガロウィルスに限らず,上記のへルペスや風疹も同じく)